東京地方裁判所 昭和51年(ワ)5275号 判決
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【説明】
原告は、請求原因として「被告会社は、原告に対し、四〇〇〇万円の債権を有すると主張しているが、右四〇〇〇万円は、訴外中山二郎こと朴舜千(被告の代表取締役)が個人として原告に貸付けたものであり、原告は、訴外朴に対し、昭和四八年一一月一六日右金員を弁済した。」として右債務不存在の確認を求める。
【判旨】
三 そこで、抗弁について判断する。
1 <証拠>によると、原告会社は、昭和四七年二月、松尾威が出資金の大半を出資し同人を代表取締役として設立されたところの不動産の売買仲介を目的とする株式会社であるが、昭和四八年三月二〇日過ぎころ、販売用の土地購入資金調達のため、専務取締役の園田国二の知合いで松尾も二、三度会つたことのある中山二郎こと朴舜千に頼んで四〇〇〇万円を借受けることとし、松尾は当時原告所有の北海道厚田郡厚田村大字聚富村字堀頭一一七番二所在地積九万六〇〇三平方メートル外八筆の土地の権利証、原告会社の印鑑証明書、白紙委任状を担保の趣旨で朴に預けて、四〇〇〇万円を利息日歩二銭五厘、弁済期同年一一月五日の約で借受ける旨朴との間で合意したこと、右当事者間では、右利息の他に日歩七銭五厘の割合による礼金(一か月当たり利息及び礼金合計一二〇万円)を支払う旨約定されていたこと、右貸付けのため、朴は、自己が代表取締役をしている被告会社(当時の商号株式会社大丸ホール)の取引銀行から被告会社名義で四〇〇〇万円を借受けて貸付資金とし、内一〇〇〇万円を同年四月一一日被告名義で三菱銀行麹町支店の原告会社預金口座に振込み、同月二七日及び五月一一日各一五〇〇万円を原告に交付したこと、原告は、同年六月から昭和四九年一一月まで右利息金として月額三〇万円または右利息金礼金として月額一二〇万円の金員を数回にわたり被告会社宛に送金していること、被告会社は納税申告書に右貸金を被告会社の貸金として記載していることの各事実が認められ、右事実によると、朴は右貸付けをなすに際し、被告会社を貸主として貸付けをする意思を有していたことが明らかであり、また、前掲証拠からすると、松尾は右貸借の際朴が被告会社の代表取締役であることは知つていたと推認でき、従つて仮に松尾が右貸主は朴であると信じていたとしても、右事実からすると少くとも松尾は被告が貸主であることを知り得べきであつたというべきであるから、商法五〇四条、民法第一〇〇条但書の趣旨からして、右消費貸借契約は原告と被告の間にその効果が帰属するものといわなければならず、これを覆えすに足る証拠はない。
(牧野利秋)